民間の医療・介護保険って必要?リスクとベネフィットのバランスを考える

節約

医療保険や個人年金保険とかって入ってますか?
個人で保険に入ると節税にもなるので入っている方は多いのではないでしょうか。

私も医療保険にがん保険、就業不能保険に個人年金保険、生命保険・・・と色々入っていたのですが、昨年ほとんどすべて契約をやめてしまいました。
今回はその理由も併せて、保険の必要性についてお伝えしていきます。

私が保険に入っていた理由

母に言われるがまま

幼い頃私は持病があって病院通いをしていたため、弟は保険に入れたが私は入れられていないのだと母から言われていました。
持病の治療が終わったのが大学生の頃だったので、母から就職したら保険に入った方がいいと言われ続けていて、「病気したときに困るから働くようになったらみんな保険に入るものなんだ」と深く考えずにその言葉を鵜呑みにしていました。

きっかけは小林麻央さん

母には保険に早く加入するように言われていましたが、子どもって親にしつこく言われるとそれが正しくても「うるさいなー」と思ってしまうもので、つい先延ばしになっていました。

そんなある日、小林麻央さんががんで亡くなったニュースが流れたことをきっかけに“やっぱり入っておいた方が良いか・・・”と思いようやく動き出して保険屋に足を運びました。
私の母方の祖母も、母が幼い頃に乳がんで若くして亡くなっているのです。
母も伯母も幸い健在ですが、母方の祖父もまた肝臓がんで亡くなったので、私には半分はがん家系の血が流れているわけで、それなりにリスクは高い方なのだと思います。

それだけに、自分より少し年上なだけの女性が亡くなるのはやはりショックな話題ではありました。
そこで、小林麻央さんの悲しいニュースをきっかけに、真剣に考えた方が良いかもしれないと考え、保険に入ることにしたのです。

節税になる

保険屋に行った当初は、医療保険とがん保険だけ入るつもりでいましたが、保険料控除で節税になるという説明を聞いて生命保険(高度障害特約付き)と個人年金保険にも入ることになりました。

医療保険と介護保険は保険料は高くないけれど、掛け捨てです。
高度障害でも支給される生命保険を2つ、満期を43歳(15年契約)と60歳の2つに分けて契約しました。
個人年金保険は月1万円ほど。
保険料控除の節税効果はこちらをご覧ください。

私は3つの控除枠を全部4万円ずつ使って12万円控除でした。
しかし、資産運用を始めたことをきっかけに個人年金保険と15年満期の生命保険以外すべてやめてしまったのです。それには次のような理由がありました。

私が保険をやめた理由

保険に入っていても使った試しがない

保険の特性上仕方ないのですが、“万が一何かあったら”支払われるお金なので実際万が一のことなんてそうそう起こらないんですよね。
保険に月数千円払っていても年間でかかっている医療費はせいぜい2~3000円くらい?何年か後に万が一入院でもしたら?がんになったら?と考えると保険料の方が安い!のかもしれないけど、そのお金自分で貯めておいたらいい話ですよね。

保険に加入した次の月に大病をわずらったら加入者としてはラッキー(と言って良いのかわからないけど金額的には)ですが、保険会社も損をするわけにはいかないので、統計的に加入者が得するような金額・支給条件の設定にはなっていないはずです。

ということは、保険に入った方が良い人の条件って、

  • まとまった貯金がないから今すぐ大きな病気になると困る(就職直後など若年層)
  • 病気になるリスクが高い(中~高年層)

このいずれかだと思うんですね。
この考えをもとに、加入者から見た保険のメリットを表にまとめてみました。

病気になるリスク保険料貯金
若年層低い安い少ない
中~高年層高い高い
(若いうちに入っておくと安いが、
支払累積額が高くなる)
多い

逆に保険会社から見たメリットを表にしてみました。

病気になるリスク
(保険給付しなければならないリスク)
保険料
(回収できる資金)
若年層低い(得をする可能性が高い)安い(少ない)
中~高年層高い(損をする可能性が高い)高い(多い)

当たり前ですが、加入者と保険会社とでは利害は一致しません。
1件あたりの収益は多くないものの、保険会社にとって若者はほとんど病気にならないのにお金を払ってくれる都合の良い客です。
中~高年になるとみんなそれなりに病気をするので保険の給付を得られる可能性はありますが、保険料は高いし、ある程度まとまった貯金があるのだからわざわざ保険に入ってお金をかけ捨てなくても良いですよね。

後述する国の保障制度もあるので、ある程度まとまったお金(最低でも3か月分の生活費)が溜まっていれば、何とかやっていけるはずです。

保険貧乏になってしまう(自分で貯めておいた方が良い)

こういう状態になったら心配、あんなことがあるかもしれないから、と色々な保険をかけてあちこちに保険料を支払っていたら、いざというときの保険はあるけど貯金が全然貯まらない、いわゆる保険貧乏になってしまいます。

保険の多くは掛け捨てで、後で返ってくるタイプもありますが、利率はあまりよくないです。何十年も払い続けてやっと数%~10%くらい。
なぜ増えて返ってくるかと言えば、預かった保険金は更に保険会社が運用して利益を得ているから、つまりその運用利益の一部は保険会社に持っていかれているからです。

だったら自分で投資信託にでもお金を預けて自分で運用した方がよほど年利も良いし、得られた利益は全部自分のもの。投資信託に手数料を払わなければなりませんが、非常に安いのでその方がよほどお得なのです。
投資成績は年利10%程度が理想ですが、普通にETFだけやっていれば、長期目線で見ると年利5%前後+配当利益数%が得られます。

安全かつ、しっかりと利益を得るための投資方法は過去の記事で解説しています。

現行の医療保険制度が続いている限りは必要ない

日本の国民皆保険制度と社会保障は非常に充実しています。
こんなに充実している国はないくらい。

万が一病気になっても3割負担で済みますし、難病、自立支援などの公費負担制度も手厚いです。
更に、医療費が高額になった場合は、収入に応じて定められた一定額の自己負担までしか払わなくて良いのです。だから、がん治療で医療費が高額になった場合でも、支払いは一定額まで。

ただし、先進医療は保険適用対象外のため、高額療養費制度の対象にもならず、全額自己負担です。
費用は200~300万円くらいかかってしまうようです。
そうなると負担はかなり大きいのですが、そもそも先進医療って“まだ効果があるかも、安全かどうかもわからない実験段階の医療技術”なので、正直、その時にならないと受ける勇気が出るかはわからない、と私は思ったからです。
他の治療法をたくさん試して、それでも効果がなかったら藁にも縋る思いで受けたくなるのかもしれないけど・・・それでも、治療費の心配をしなくて良いように資産を積み上げておく方が良いと今は思っています。
加えて、住宅ローンに対して“がん特約プラン”というのをつけたので、金利がちょっと高くなるけれど、がんの診断を受けた時点で住宅ローンが全部チャラになるのです。
だから更に他のがん保険に入っておく必要はないと思っています。
気になる方は保険料が安くて先進医療に手厚い保険を1つだけ探して入っておけば良いと思います。

でも実は、日本の医療保険制度は結構負担が大きくなって破綻しかねないと言われているんですね。
でも、現役薬剤師の立場から言わせてもらうと、自己負担がゼロとか1割の家族(子どもとかお年寄り)に保湿剤大量に処方してもらって家族みんなでハンドクリームとして使っている人、平気でいるんです。
安いからって受診するほどの症状じゃないのにすぐ病院に行ってしまう人が多いのが日本の医療の実情で、それを考えると本当の本当に破綻しそうになったら、保湿剤の保険適用もだいぶ厳しくなるんじゃないかな。と思うのでおそらく破綻しないと信じておく。

私はマンション購入後、一瞬貯金がとても少なくなったのでさすがに今働けなくなったら大変と就業不能保険に入ったのですが、1年未満で解約しました。
今はある程度貯金ができたので、今後は“働けなくなっても稼げる”方法として在宅ワークのスキルを身につけて、いざというときの収入源の確保に向けて動き出しています。

保険は支給に条件がある

先述の通り、保険会社はできることなら保険の給付を行いたくありません。
ですから保険給付には色々条件があって、治療費が何でもかんでも出るわけではないので、自分でお金を貯めておいた方がどんな病気、どんな治療にでも対応できます。

節税効果としてはあまり大きくない

保険料控除の枠が12万円あるとはいえ、課税対象額から12万円控除されるのであって、所得税が12万円少なくなるわけではありません。
つまり、年間12万円以上の保険料を払っても、所得税は最大1.2万円(所得税率10%の場合)程度しか安くなりません。年間で1.2万円と考えると保険料を掛け捨てている金額の方がよほど大きいですよね。

もちろん、他にも保険料控除のメリットはあります。
所得税率は課税対象額をもとに決まるので、もし課税所得が所得税率が上がるか下がるかの境目(例えば、195万を境に5%になるか10%になるか決まる)だとしたら、保険をやめて課税所得が12万円上がってしまったがために所得税が2倍、ということも起こります。

課税所得を抑える方法は他にもiDeCoやDCなどがあるので、そちらを優先的に利用した方が良いと思いますが、それでも尚課税所得を基準内に抑えられそうにないのなら、多少の保険加入を考えても良いかもしれません。

私の場合は、ちょうど会社が福利厚生としてDCを始めたので、保険料控除のメリットが少なくなったため、一部を除きほとんど解約したのです。
月々に払っている金額はDCの方が多くて、DCは全額控除、保険料は年間最大12万円控除なので、DC枠の方が圧倒的にお得だし、月々の社会保険料も抑えることができるからです。
残したのは、あと9年で満期を迎える生命保険と10年後に解約返戻金が100%戻ってくる個人年金保険のみ。それ以外はすべて解約しました。

個人保険の必要性 まとめ

何かあったら心配だからと、加入していることの多い民間の医療・介護保険。
確かに、何かあったときに助けがあった方が助かるし、手元にお金を持っていると使ってしまうから、保険会社に預けておいた方が良いという考えもあります。

しかし、日本の公的医療保険は諸外国よりも非常に手厚く、仮に改悪されたとしても諸外国よりはマシだと思われます。更に、保険は支給条件が決まっているので使い勝手が悪いのです。
それよりも今は、万が一何かあった時のために資産を増やし、不労所得や収入源を増やしておけば万が一の時の治療費や生活費の足しになる、というのが今の私の考えです。

それでももし、保険に加入するのならば以下の条件を満たすときならばメリットは大きいと思います。

  • 貯金や収入が少なく、今すぐ病気になってしまうと生活に困る
  • 病気になるリスクが高い(遺伝要素や環境的要因がある)
  • 保険料控除のメリットを十分に受け取ることができる(課税額を抑えられる、かつ所得税率を下げられる)

雇用されている身では、大病を患ったときの収入減や失業の可能性は否定しきれません。
元気なうちに、在宅ワークのスキルを身につけ、資産を増やし不労所得を作り、サイドFIRE(不労所得で稼ぎながら、一部を非雇用労働で賄うこと)を目指すことをおすすめしたいです。
私は現在サイドFIREを目指して頑張っているところなので、ぜひ、私の体験談もご覧頂ければと思います。

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