半年で80万円稼いだ女が教える、TOBされやすい銘柄の見つけ方

資産運用

私はつい先日、2023年11月7日に、保有していたシミックホールディングスの株のTOB(公開買付)が発表され、45万円もの利益を得ました。
更に、8月には別の銘柄でもTOBによる株価の大幅上昇を経験し、30万以上の利益を得ています。
そのときのエピソードとTOB後の流れについては以下の記事をご覧ください。

私より先に株式投資を始めていた彼氏くんはTOBを経験したことはないと言います。
対して私は株を始めて1年。

そこで私は、「TOBされやすい銘柄には何らかの特徴や法則があり、購入銘柄の選定基準に何か秘訣があるのではないか?」と考えました。

今回は、私がこの半年でTOBを経験した銘柄2つの特徴を調べ、両者の共通点からTOBされやすい銘柄の特徴を探っていきたいと思います!

私が半年で2回TOBに成功した理由

TOB銘柄を半年で2回も見つけることができた、その決め手は何だったのか。
まずはTOBについて学ぶとともに、TOBされやすい銘柄の特徴を財務指標などから考えてみようと思います。

TOBとは何か?メリットとデメリットを解説

TOBとは公開買付ともいい、一言で言えばA社がB社を買収するときに、株主に対してプレミアム価格での買付を呼びかけることを言います。

TOB発表時点の株価+30%~50%くらいの価格で買い付けてくれるため、通常TOB価格に近似した価格まで市場価格も上昇します。

つまり、もしTOB対象になる株を購入前に予測できたら、株主としては大きな利益が得られるわけです。

ただし、TOBが発表されたからといって、すべてのケースで株価が上昇するわけではありません。
TOB発表後の株価の動きや売却までの流れなどの詳細はこちらの記事で解説しています。

TOBされやすい銘柄の特徴とは?

TOBされやすい銘柄には特徴があるのでしょうか。
可能性としては以下のような特徴が考えられます。

TOBされた銘柄の特徴
  • 低PBR、低EV/EBITDA倍率
  • 低PCFR
  • 有利子負債比率が低く、流動比率が高い
  • もともと親子関係にある(株式保有比率が高く影響力が低い会社による買付)
  • 買収側(親)に買収できるだけの資金力がある

低PBR、低EV/EBITDA倍率というのは株価の割安感を示す指標です。
30%も上乗せして買収するのですから、元が割安でないと買う側としてもリスクになりますよね。
EV/EBITDA倍率とは元々企業同士のM&Aの際に参考とする指標なので、買収の際にまず間違いなくチェックしているだろうと思います。

割安感を示す指標にはPERもあるのですが、ここで敢えてPERを入れなかったのは親会社が介入しなくても自社で十分な利益を上げている会社が買収される理由はないと思うからです。
もちろん、親会社との連携によってより利益が上がる可能性もあるけれど、せっかく順調なのに余計な口出しをしない方がいいかもしれない。
つまり、今現在利益が上がっているかはそれほど影響する要因ではない、と考えられます。

買収はむしろ、企業としてそれなりに価値(資産や資源)を多く持っているけれど、それをうまく活かせていない企業に対して経営的に介入することで利益を上げられるだろうと思うから実施します。
だからPBRを見て割安だと買収によって得られるメリットが高いと考えられるのです。

自分が経営者だったら、借金が多い会社もあまりほしくはないですよね。
借金に関しては、返済できるだけの利益を今後上げられる見込みがあればそれほど問題にならないのですが、少ないに越したことはありません。
そのため、借金の割合と返済能力についても参考とするべきでしょう。
キャッシュ(現金)の流れが良い会社も経営が健全と言えますので、買収の際に好まれると思われます。

これらの指標の意味と目安の数値については、以下の記事で解説していますので、参考にしてくださいね。

そして、一般にTOBは親子関係にある会社の間、または元々株式保有比率の高い会社によって行われる傾向にあるようです。
多くの子会社を従える大企業はそうそう買収されませんから、中規模の上場企業がTOBされやすいでしょう。
中規模企業の銘柄を買う際は、四季報などで主要株主の名前に目を通しておくと良いかもしれません。

私が利益を得た2つのTOB銘柄の紹介

ここまでに紹介した法則が当てはまるのか検証するために、私がTOBを経験した銘柄2つの情報について見ていきましょう。
両者に共通する部分も多かったので、参考になればと思います。

東京日産コンピュータシステムの場合

2023年8月、東京日産コンピュータシステムはキヤノンマーケティングジャパンによる全株式の公開買付(TOB)による完全子会社化が行われました。東京日産コンピュータシステムは現在上場廃止となっています。

東京日産コンピュータシステムとキヤノンマーケティングジャパンのケースでは、親会社は日産東京販売ホールディングスだったため親子関係には当てはまりません。あくまで事業を行う上での有益性を考慮して友好的な買収が行われたようです。

私が東京日産コンピュータシステムの株式を購入した際の各財務指標は以下の通り。

指標目安購入時の数値指標目安購入時の数値
PBR1.10.87ROE10以上10.10
PER108.48有利子負債自己資本比率80なし
EV/EBITDA倍率8未満2.6流動比率200241.8
PCFR10未満9.19自己資本比率5056.9

東京日産コンピュータシステムの特徴として、株価の割安感はほどほどですが、借金がほとんどない、というのが特徴的でした。
印象としてリスクの低い安定銘柄であると言えます。

キヤノンマーケティングジャパンはリスクの低い投資を行い、東京日産コンピュータシステムの持つ資産や設備を基に更なる利益を得ようとした、と考えることができると思います。

シミックホールディングスの場合

シミックホールディングスは2023年11月の決算発表にて、株式会社北杜マネージメントによる公開買付(TOB)が行われることになりました。シミックホールディングスはTOB後、株式完全非公開(≒上場廃止)となる予定です。

シミックのケースでは、代表取締役である中村氏が経営する会社による買付が行われたということで、親子関係ではないものの株式保有率が高く影響力が高い人物(会社)によってTOBが行われています。
おそらく中村氏個人としては全株式購入は難しいため、会社名義で買い付けたのではないかと。

私がシミック株を購入した時点での各財務指標は以下の通りです。

指標目安購入時の数値指標目安購入時の数値
PBR1.10.9ROE10以上29.6
PER104.32有利子負債自己資本比率807.76
EV/EBITDA倍率8未満2.55流動比率200204.75
PCFR10未満2.55自己資本比率5051.39

シミックは株価が割安で借金も少なく、優良銘柄であると言えます。
同社は配当性向30%を目指すことを株主に対して掲げていながら、8月の決算では増配発表もなく、株主の反発で株価が200円以上も下がっていました。
もしかしたらこの時点でTOBの計画が上がっていて、増配を発表しなかったのも敢えて株価を下げる狙いがあったのかもしれませんね。

ROEが非常に高いのも印象的で、投資した額以上に大きな利益が見込めるためプレミアムをつけてでも買収する意味があったのでしょう。

TOBで稼ぐためにやるべきこと

TOB銘柄狙いで投資を行うならば、探し方と売買タイミングについて基準を決めておきましょう。
また、首尾よくTOB銘柄を当てられた場合でも、その後の行動が利益の大小を決めることもあります。
TOBによってより多くの利益を得るためにはどのような心がけや行動が必要なのか、まとめてみました。

TOB銘柄の探し方と購入タイミング

TOB銘柄を購入するときも、銘柄の選定基準はそれほど変わりません。
ファンダメンタルと直近の値動きを見て、なるべく安いタイミングで購入しましょう。

TOBの発表は四半期(5月、8月、11月、2月)の決算発表時に行われることが多いようです。
決算発表時にTOBが発表されれば、直後に大きく価格上昇する可能性があるので要注意。
発表直後には一気に数百円上昇するため、成り行き買いすると高掴みしてしまう可能性があります。
TOBが発表されてから買ったのでは遅いのです。

私はTOBを予測して買ったわけではありませんが、独自の購入基準を決めて購入した結果2回もTOB銘柄を引き当てているので、良かったらその購入基準の決め方を参考にして頂ければと思います。

TOB銘柄の売り方と注意点

TOB発表後、株主がTOB銘柄を売却する方法は3通りあります。

TOB銘柄の売り方
  1. 公開買付に応募する・・・時間と手間がかかる
  2. 市場で売却する・・・時間も手間もかからないがTOB価格より数円価格が下がる
  3. 強制取得まで待つ・・・時間がかなりかかる


3つの売却方法の流れと特徴は以下の記事で解説しているので、参考になさってください。

個人的には市場価格がTOB価格に近い値で止まったら、なるべく早く市場で売ってしまうのがおすすめです。TOBにしろ、強制取得にしろ、換金できるまでに何か月も時間がかかります。
何か月か待てば何%も差が出るというのなら話は別ですが、待ったところで価格はそう変わりません。
だったら早く換金して他の株で更に利益を得た方が更なる利益を得られます。
投資は時間とタイミングが大切です。

注意点として、TOBが発表されたからと言って、TOBは必ず成立するわけではありません。
買付予定数に達しなかった場合は、そもそも公開買付の話自体白紙に戻る場合があります。

市場で売る場合はタイミングと売却額をよく考えましょう。
1円でも高く売ろうと長くねばっても、その1円で得られる利益はせいぜい数千円ですよね。
価格上昇が頭打ちになったら、1日も早く売却しその利益で他の株を購入した方がより多くの利益を得られます。

TOBの中でも、買収される側の合意のない敵対的TOBの場合は市場価格が下がる場合もあることにも注意が必要です。こればかりは防ぎようのないことなので、投資にリスクはつきものと諦めましょう。
TOBがある程度予測できるとしても、必ずしもTOBが行われるわけでもないことも留意しておいてください。
TOBの可能性を分析して銘柄を選ぶことはまったく問題ないですが、TOBがあったらラッキーくらいの感覚でいるのが良いと思います。

TOBについて正しく知って、資産を増やそう!

TOBとは企業の戦略によって行われる企業間の買収のことで、最近では親子上場の解消のために積極的に行われています。

そのため、株価の急上昇が望める友好的なTOBが行われるには、親会社が上場しており買収するだけの体力があること、子会社の企業としての価値が高いことなどがTOBが行なわれやすい条件であると言えます。

しかし、TOBはそれらの条件が揃えば必ずしも行なわれるというものでもないですし、TOBが発表されるのは四半期ごとと頻度は高くありません。

TOBでの株価上昇だけに賭けて投資を行うのは効率的とは言えないということは念頭に置いておきましょう。あくまでも、大企業が欲しがるほどの魅力的な企業ならば株価も上がるし、もしかしたらTOBもあるかもしれない、くらいのスタンスでいるのがベスト。

TOBされる銘柄はこんな感じなんだなーとあくまでも一例として参考になれば幸いです。

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