自社株買いと株価の関係を初心者にわかりやすく解説!

資産運用

株式投資をしていると、「自社株買い」や「自己株式の取得」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。
保有している株の自社株買いが発表されて戸惑っている人、これから買おうとしている銘柄の自社株買いが発表されて買うべきか悩んでいる人もいるかもしれませんね。

企業がわざわざ自社の株を買い戻す…何の意味があるのでしょう?

結論から言えば、自社株買いは株主にとってメリットの高い利益還元の方法であると言われています。

今回は自社株買いのメリットやリスクについて解説し、筆者が株を保有しているJVCケンウッドが先日自社株買いを発表しましたので、その後の株価の動向も照らし合わせてみたいと思います。

自社株買いとは何か?

自社株買いとは、読んで字のごとく、企業が自社の株を一定数買い付けることを言います。
しかし、発行した株をわざわざ自社のお金を使って買い戻すのにはどんな意味があるのでしょうか?
株主、企業それぞれの目的とメリットを解説します。

自社株買いの目的とメリット

自社株買いを行った場合、株主、企業双方にメリットがあります。

例えば企業からすれば株価の3%分全株主に配当金を払うのと、全株の3%分自社株を買い集めるのとでは、いずれも企業が支払う金額は同じです。
しかし、企業にとっては今後配当金を払うべき人数が減り、株主にとっては株価が上がるのですから双方にメリットがあるというわけです。

株主からすると、配当金が支払われた場合はその年度の所得として税金を支払わなければならなりませんが、自社株買いによって株価が上がっても売らなければ税金はかかりません。
税金を払うタイミングを先延ばした方が複利効果は高いので、株主にとって大きなメリットとなります。

自社株買いのデメリットとリスク

自社株買いに直接的なデメリットはありません。
しかし、市場の状況によっては株価にマイナスの影響を与える場合もあります。
自社株買いが行われれば、その後株価が上がる可能性が高いので、「安いうちにもっと買いたい!」と思った人が今持っている分を売って株価を下げ、下がったところでもっとたくさん買うため、自社株買い発表直後は一時的にかえって株価が下がる場合があります。

自社株買いについて知らずここで焦って売ってしまったりすると、損をすることがあります。
この記事で自社株買いについての知識を深め、早合点しないようにしましょう。

自社株買いが株価に与える影響は?

自社株買いによって、株価は上がったり下がったりすることがわかりました。では、実際どのような状況でどう株価に影響するのか、その可能性やメカニズムを調べてみました。

株価上昇のメカニズム

自社株買いが行われた場合、次の2つの理由から株価上昇が見込めます。

自社株買いが行われると株価が上がる理由
  1. 流通する株数が減ることで需要と供給のバランスが需要に傾く
  2. 発行株数が減る⇒1株あたりの利益(EPS)が上がる⇒PERが一定と仮定すると株価も上がる

1つはシンプルに需要と供給の関係。
欲しい人が10人いるのに、モノが3つしかなくなったら値段は上がります。
それと同じで企業が自社の株を買い取ったら世の中に流通する株が減るため自ずと価格は上昇するのです。

もう1つは、発行株数が減ることによって、1株あたりの純利益(EPS)が増えるため、PERが一定と仮定するならば株価も同じ割合で上昇する計算になる、という理屈です。
例えば3%分自社株買いが行われた場合、株価も3%上昇する見込みになります。

以上2つのメカニズムによって、自社株買い発表時点の株価の少なくとも3%以上の上昇は見込めると考えて良いでしょう。

株価下落の可能性

自社株買いによって理屈では株価は上がるのですが、下がる場合もあります。
これは自社株買いによる直接的な影響というよりも、株価を操作しようとしている人がいるのかもしれません。

自社株買い発表直後は株価が上昇傾向になります。
少し上がったところで保有していた株を大量に売却し(このときの売却益だけが目的の場合もあります)、わざと株価を下げて安くなったところをまた買い直すのです。

この場合は「上がる見込みがあるから」敢えてやっていることなので、最終的には株価が上昇する可能性が十分あります。
下がったタイミングで買えればベストですが、株価操作をする人がおらず上昇し続ける可能性もあるので必ずしも安くなるとは言えません。これから買おうと考えている人は自社株買いが発表されたらなるべく早い段階で買うのが良いでしょう。

自社株買いはそもそも株主に利益還元するために企業側が行うことなので、高いタイミングで買ってしまいその後下がってしまったとしても慌てて損切するのは早計です。

JVCケンウッドの自社株買い事例

私は2023年5月からJVCケンウッドの株を保有しています。
JVCケンウッドは2023年度既に2回自社株買いを発表していますが、その後の値動きはどうなったのでしょうか。

理屈通りの値動きになったのか、はたまたならなかったのか、その結果を追ってみます。

決算発表で自社株買いを発表した理由

まず、JVCケンウッドが自社株買いを発表したのはなぜでしょうか。
JVCケンウッドは決算発表にて「株主還元と資本効率の向上」と説明しています。

この点は自社株買いの原理や目的と違う部分はありませんね。
経営陣のいう「株主還元と資本効率の向上」にまったく疑う余地はなさそうです。

自社株買い後の株価推移と私の経験談

では、自社株買い発表後、実際のJVCケンウッドの値動きはどうなったのか。

私は決算発表後自分の保有している株の値動きの観察と、決算速報を見ていたため、突然株価がみょーんと上がっているのを見て、自社株買い発表に気づきました。
「おお!これは!」と喜んでいると、翌日からは株価が決算発表前より数十円じわじわと下がってしまったのです。

自社株買いのメカニズムについてこの時はまだ知りませんでしたが、そもそも私は結構安いときに買ったので下がったところでマイナスにはならないため焦りは感じませんでした。
後から自社株買いについて調べ、何なら買い足せば良かったかな、と思っているくらい。

そして、10/31の自社株買い発表から3週間ほど経った頃、急に株価が上がり始め、100円以上上昇したのです。

今年に入ってから、1月、4月、7月、10月の決算の度に株価が上昇していることがわかります。
自社株買いを発表したのは4月と10月だけなので、必ずしも自社株買いだけが理由ではなく、シンプルに業績が非常に好調なのも影響していますが、そもそも自社株買いをすることが会社の資本効率向上に貢献していることを考えると、あながち無関係ではないでしょう。

10月決算発表後に関しては株価が一旦下がっていますが、これはおそらく、株価上昇を見込んで買い足すためにわざと株価を下げた人がいると考えられ、
もし決算発表直後の少し上がったところで買ってしまったとしても、少し遅れても必ず上がる可能性が高いと考え、焦る必要はまったくないということの証明です。

自社株買いについて正しく知って、優良銘柄を選ぼう!

株式投資と言えば配当金と株主優待に目が行く人も多いでしょう。
しかし、そもそも株主優待は日本にしか存在しない制度であり、配当王(25年以上連続増配)と呼ばれる企業の多いアメリカでさえ、AppleやAmazon、Googleのように配当よりも株価を上げることの方が株主への還元となると考えている企業も増えているくらいです。

配当金生活ができるくらい資産を増やすのが私の夢ではありますが、それだけの資産を得るにはまだまだ時間がかかります。
株主還元への方針として自社株買いを発表している企業に関しては、今後上昇の見込みありとして十分に購入検討の価値のある優良銘柄と言えます。

ただし、自社株買いだけに飛びついて購入を決めるのは失敗のもとです。
私は、自社株買いを知らずに購入した銘柄で自社株買いを経験したに過ぎません。
購入する銘柄を決めるにあたっては、きちんと業績や経営状況を吟味した上で、総合的に判断しましょう。

私が実践している優良銘柄の選定方法をまとめた記事を以下に掲載していますので、参考になさってください。

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