AI投資アプリのメリット・デメリットと投資信託との比較

資産運用

。近年「AI〇〇」というツールが多く発表されていますが、投資界隈でもAI投資というアプリが登場し話題になっています。
AIが人間に代わって投資銘柄の選定や売買の判断を行ってくれるもの。
投資知識の少ない投資初心者にとってはありがたい機能ですが、肝心な実績はどうなのでしょうか?
自分で投資判断を行わなくて済むという意味では投資信託を利用してもサービス内容は変わらないような気もしますよね。

そもそも投資信託とは??と思った方は以下の記事を参考にどうぞ。

結論から言えば、私はAI投資アプリの利用をおすすめしません。
自分で投資信託を利用した方が良いと考えています。

とはいえまずはAI投資アプリについて詳しく知った上で、各自AI投資を利用する必要があるのか考えて頂きたいと考え、AI投資アプリの特徴やメリット・デメリットについて解説しようと思います!

AI投資アプリとは何か?

AI投資アプリは人間に代わって投資判断を行ってくれるもの。
株式投資においては購入する銘柄の決定や購入価格の設定が非常に重要ですが、当然ながら慎重な判断を要するためどうしても時間もかかるし、どんなに投資の知識があっても株価の動向は簡単に予想できるものではありません。
初心者ならなおさらですよね。

AI投資アプリはそんな投資家の悩みを解決したり、助けになったりしてくれるもの。
AI投資と一口に言ってもいくつか種類もあるので、詳しい仕組みや特徴について解説します。

AIが株式市場を分析して最適な銘柄を提案する仕組み

AIはどうやって最適な銘柄を選定しているのでしょうか。
その情報の信憑性が気になるところ。

AIは過去の様々な銘柄の値動き、ファンダメンタル分析などを学習し、そのデータから今後の値動きを予測しています。
膨大な量のデータから分析しているので、提案される銘柄の信頼性は高いとみて良いでしょう。
人間がすべての銘柄の何十年もの値動きのデータやプロの投資家レベルのファンダメンタル分析を習得するのは並大抵のことではありませんから、分析の根拠となるデータ量と判断スピードという意味ではAIに軍配が上がるでしょう。

ただし、コロナショックや災害のようなイレギュラーな事態はさすがに予測できません。
これはAIでも人間でも同じことなので過信しすぎには要注意です。

AI投資アプリの種類と特徴

AI投資アプリには大きくわけて2つの種類があります。それぞれの特徴は以下の通り。

AI投資アプリの種類と特徴
  • アドバイス型
    おすすめ銘柄の紹介のみ行う。機能が限られる分、無料利用できるものが多い。
    最終的に投資を行うかどうか、いつ買うかは自分で判断することができる。
  • おまかせ型
    投資銘柄の判断、売買タイミングの決定と実行などすべてAIに一任できる。
    すべておまかせできる、預けた資産の1%前後の運用手数料がかかる。

冒頭で私が「投資信託と変わらないのでは?」と考えていたのは後者のおまかせ型の方ですね。
運用手数料を払っているあたり、本当に投資信託と同じ仕組みと想像できます。

しかし、AIにはAIのメリットがあるはず。
ここからはAI投資アプリを利用するメリットを紹介します。

AI投資アプリのメリット

AI投資アプリのメリットはその利便性と規則性。
人間にはできないこと、人間であるが故の失敗をカバーしてくれます。
実際どのようなことが期待できるのか、考えてみます。

自分で銘柄を探す手間が省ける

AI投資アプリを利用すれば、投資対象となる銘柄はAIが選んでくれるので手間が省けます。
無数にある銘柄をすべて、チャートやファンダメンタルを分析した上で優良銘柄を自分でピックアップすることは人間には不可能ですが、AIにはこれが一瞬でできてしまうわけです。
人間が時間をかけて分析をしていたら、その間にもどんどん値動きしてタイミングを逃してしまいかねませんからね。

分析力の高さと判断の速さ、これがAIを利用するメリットと言えるでしょう。

AIの判断に従うことで感情的な売買を防げる

投資において、人間の一番の弱点は値動きに一喜一憂して感情的な判断をしてしまうことです。

株価が下がってきたことによって、損失を恐れて早まって売ってしまったり、「○○株が上がるらしい」というSNSの噂に流されて1つの銘柄を大量購入してしまったり、人間はこのような不安や恐れ、欲などの感情によって大きなミスをおかしやすいのです。
ですから、投資は「マイルールを決めて、それをきっちり守って投資する」のが良いと言われています。

AIはアルゴリズムと呼ばれるルールに従って行動しますから、「暴落したらどうしよう」という不安に流されたり「もっと儲けよう」という欲を出したりしません。

人間の最大の弱点である「感情」の部分をカバーする、それがAI投資が良いとされる理由です。

AIが常に市場の動向を監視してくれる

多くの人は仕事をしているでしょうから、日中ずっと株価の動向を見張っているわけにはいきません。
AIならば我々人間が仕事をしている間も株価を常に監視していてくれますから、売買のタイミングを見逃すことがないのです。

四六時中株価を見張って値動きにビクビクしなくても、安心してAIに任せておくことができるのもメリットです。

AI投資アプリのデメリット

一方、AI投資アプリを利用するデメリットはどんなことが考えられるでしょうか。
投資判断を任せるのですから、AIの判断の信頼性は気になるところ。
AI投資の仕組みや特徴からデメリットを考えてみます。

AIの判断に盲信しすぎると危険

株価には多くの株主の思惑が絡んでいます。
理屈で考えれば上がる可能性が高いタイミングで、敢えて「これから上がりそうだから安く買い直そう」と考えた大株主がいたら、持っている株を大量に売却して株価を大幅に下げてくる可能性があります。

敢えてそういう行動をする人がいるという事実はAIにインプットさせておくことができるかもしれません。しかし、株主の中には初心者も多くいますから、必ずしも投資原則に則った行動をしてくれるとも限らないわけです。
つまり、AIの概念にはない人間の「判断ミス」や「型破りな行動」による値動きをどこまで予測できるのか疑問なのです。

プロのテニスプレーヤーでも、私のようなどこに球を飛ばすかわからない素人プレーヤーと試合をするのはある意味大変なはず。プロ自身のプレーは失敗でなくても、勝つのが難しい場合もあるということ。
つまり、プロの投資家ばかりではない市場の値動きを予測するのはAIでも簡単ではないだろうと思います。

とはいえ、様々な考えの投資家が集まり、多くの判断ミスも集まった上で今までの市場動向が出来上がっているわけですから、統計的にすべての要因が織り込み済みと考えれば、大きな失敗はしにくいかもしれませんね。

AIのアルゴリズムや信頼性が不透明な場合がある

搭載しているAIの種類によって、銘柄選定や売買タイミングについてのアルゴリズムが異なる場合があります。
アルゴリズムとは投資ルールのようなものと考えて頂けると良いでしょう。

そのルールが異なれば結果も大きくことなる場合があります。
AIがどのような考え方で運用しているかがわからなければ任せるとしてもちょっと不安ですよね。

AIを使ってみると、「なんでこの銘柄を勧めてきたんだ!?」とびっくりすることがあります。
例えば不祥事が発表されたばかりの銘柄とか(笑)
AIはアルゴリズムに忠実なので、それゆえチャートやファンダメンタルの分析結果が良ければ機械的におすすめに表示します。
もしかしたらニュースやSNSなどの情報も加味するようなアルゴリズムになっているAIもあるかもしれませんが、そのアルゴリズムの詳細を知る方法はないので心配にもなりますし、AI選びも難しいところです。

AI投資アプリの利用料が高い場合がある

全部おまかせできるAI投資アプリは利用料(預かり資産の1%前後+成功報酬がかかる場合あり)がかかります。
投資信託の信託報酬はアクティブファンドを除けば1%未満のファンドが多いことを考えると、決して安くはありません。
しかも、AI投資アプリが運用する銘柄の中には投資信託も含まれるわけですから、AIが投資信託を利用する選択をすれば、投資アプリの手数料+投資信託の手数料を二重に払っていることになります。

このあたりは、どの投資信託を利用するか考える手間が省けるのだから手数料など安い!と考えることができるかどうかの問題だと思います。
しかし、「どの投資信託を選べばいいのかすらわからない!」だけが悩みならば、無料のAI投資アプリでおすすめ投資信託を教えてもらえばいいだけのこと。
投資信託は少額積み立てができるのがメリットなので、通常短期間の売買を行うような投資の仕方はしません。
故に自動で売買のタイミングを判断してもらう必要がないのです。

投資信託とAI投資、どちらがおすすめか?

ここまでの内容から、銘柄の選定と売買タイミングの判断などを手数料を払ってすべておまかせできるという意味ではAI投資アプリと投資信託はおおよそ同じと言えると思います。
じゃあ、結局どっちがいいの?って話なのですが、個人的にはお金を払ってまでAI投資アプリを使う必要はあるのかな?と思います。

でも、AI投資にも興味ある!使ってみたい!という人もいるでしょうから、結論を出す前に再度投資信託とAI投資のメリット・デメリットについておさらいしてみたいと思います。

AI投資のメリット・デメリット

AI投資のメリット
  • “一定のルールに従って”投資を行ってくれる
  • 銘柄の選定や売買タイミングの判断など、情報処理と決定が速い
  • 人間と違い、感情に流されない
AI投資のデメリット
  • 手数料が高くつく可能性がある
  • AIと言えども確実な利益が約束できるわけではない

AI投資のメリット・デメリットはこの通り。

手数料に関しては、すべておまかせ型のAIを利用する場合にはよく考えるべきでしょう。
個別銘柄の売買にも手数料はかかりますし、投資信託やETFならば信託報酬などの運用管理費もかかります。
自分で選定する手間が省ける分、手数料は高くついてしまいます。
アドバイス型のAIを利用し、最終判断を自分でするようにすれば手数料の部分はカバーできますが、AIを利用するメリットが少なくなるので、バランスをよく考えて利用すると良いでしょう。

投資信託のメリット・デメリット

投資信託のメリット
  • (インデックスファンドの場合)“一定のルールに従って”投資を行ってくれる
  • 手数料は安く済む
投資信託のデメリット
  • 多くのファンドがあり、何を選べばよいかわからない

投資信託には様々な種類がありますが、なかでもインデックスファンドは一定の指数に連動した運用を目指して「機械的に」売買を行う運用方法を行っています。

つまり、AIのやっていることと何ら変わりはないのでは?
もちろん、人間がやっている投資信託よりかは情報の処理スピードは速いはずです。
・・・となれば、そのAI技術は既に投資信託のファンドを運営する現場で既に導入されている可能性がありますよね。

実際、投資信託における銘柄選定にAIを利用しているファンドはあるのです。

信託報酬含む運用管理費は0.792%と1%を切っています。
つまり、AIにおまかせする投資をしてみたいけど、手数料が高いのはなぁ・・・と思うならば投資判断にAIを使っているファンドを選ぶのがおすすめ。

投資目的やスタイルに合わせて選ぶべき

AIにも投資信託にもそれぞれの利点がありますが、手数料の観点から考えると、現時点でAI投資はそれほどおすすめできるとも言えません。
それでもAI投資を活用してみたいのならば、

  • 無料のアドバイス型AIを利用し、最終判断は自分で行う
  • 投資判断においてAIを利用している投資信託ファンドを利用する
  • 手数料の高いファンドで投資信託をするくらいなら、AI投資でも良いかも
  • 分散投資の一環としてAIにも投資を任せてみる(すべてをAIに賭けない)

こんな活用の仕方が考えられるかな、と思います。
新しいもの好きの私はAIと聞くと使ってみたくなるのですが、かと言ってすべてをAIに賭けるのは怖い、でも人間に任せる方が安心とも言い切れないですよね。
私のように「最新技術を見るとわくわくしちゃう!手を出してみたくなっちゃう!」という方は、一部AIも取り入れて、少しずつ取り入れ方のバランスを考えていく方が良いと思います。

投資にAIを活用するには使い方を考え慎重に

私は生活の中で、ChatGPT、Google BardなどのAIツールを少しずつ取り入れるようにしていますが、投資に関してはお金が絡むだけに未知の技術にすべて任せるのは不安の残るところです。

任せるのが人間であれAIであれ投資にはリスクがあります。
リスクとリターンを慎重に判断した上で、全財産をいきなり投じることがないように少しずつ様子を見ながらの分散投資を心がけましょう。

AI投資の手数料が高いのであまりおすすめしないというのが現時点での私の見解。
企業としてもAIの開発や導入に多額の費用を投入しているでしょうから、すぐには手数料を下げてこないと思います。
逆に言えばAIを使った投資アプリや金融商品が当たり前に出てくるようになれば、手数料は下がってくるかもしれませんね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました