私は株式投資を始めて1年になります。
この1年の私の投資成績は100万円(年利25%)以上を達成しました。
1年でそれだけの利益を得る投資手法として、筆者独自の優良銘柄・割安銘柄の見分け方を紹介してきました。
これまで紹介してきた優良銘柄の見分け方の記事はこちら↓
この方法によって、今この株を買うべきか?この銘柄は優良なのか?という購入銘柄のスクリーニングと購入タイミングを計るためのルールを設けることができ、情報や不安感に流されない投資ができると解説してきました。
投資におけるマイルール設定の重要性については下記の記事をご覧ください。
しかし、今まで紹介してきたルールの中に、売却タイミングに関するルールはありませんでした。
一応私の中では10%以上利益が出たらというルールはあったのですが、それ以上に伸びるときもあるし、損切のルールも考えなければなりません。
そこで今回は、目標株価、PER、ROEをもとに株の売り時を見極める方法を考えていきたいと思います。
目標株価と売り時の関係
まず1つめに注目したいのは、目標株価です。
目標株価とはどのような指標で、どのようなことがわかるのか、それをもとに目標株価による売り時の見極め方を考えていきたいと思います。
目標株価とは何か?
目標株価とは、PER(株価収益率)と呼ばれる数値の算出式をもとに、この株の価格が今後どれくらいになるかを予想したものです。
この方法で、「利益の伸び(EPS)と人気度(PER)からして、株価はこれくらいになるのが妥当だろう」という予想を立てることができます。
目標株価の設定方法
目標株価を売り時の指標とするためには、1つ大きな欠点があります。
それは、目標株価の算出に利用するEPSもPERも自分で予想を立てなければならないということです。
EPSは過去の伸び率の傾向、新規事業の開拓、新製品・サービスの伸びなどから予想を立てます。
数学的には、株価が変わらなければEPSが伸びるとともにPERは小さくなりますが、EPSがぐんぐん伸びている企業の株は人気が出て株価は上がります。となれば利益が伸びている企業の株価は上がる、つまりPERも維持されるか上がると考えるべきです。
ある程度自分で予想してみても良いですが、ネットで検索してみると投資家たちが予想した目標株価が掲載されています。
投資家が予想した目標株価が必ず当たるというわけではありませんが、1つの指標として参考にすると良いでしょう。
目標株価に達したら売るべきか?
先ほども述べた通り、目標株価はあくまで予想値です。
近年の業績や市場人気などある程度の根拠はありますが、必ずしも正しいとは限らないということは心得ておくべきだと思います。
そこで、目標株価だけを鵜呑みにして売り時を見極めるのではなく、他の指標もいくつか組み合わせることを考えてみます。
PERと売り時の関係
PERは先ほどの目標株価の算出式にも登場していました。
目ざとい人は気づくと思いますが、「目標株価を決めるのにPERを使うんだから、目標株価を見ても一緒じゃないか?」って話ですよね。
ここで言うPERは予想PERではなく、リアルタイムのPERのことです。
では、このリアルタイムのPERをどう活用するべきか、どのくらいの数値ならば売るべきか考えてみます。
PERとは何か?
PERとは先にも述べた通り「株価収益率」と呼ばれています。
目標株価の項で示した計算式の通り、株価が下がれば下がり、EPS(一株あたりの純利益)が上がれば下がる指標です。
PERの数値からわかることを読み取り、売却タイミングを計るのに利用できないか考えてみましょう。
PERの分析方法
まず、PERの高低から判断できることとは何でしょうか?
以下のまとめをご覧ください。
まず、PERが低いときは株としては割安であり、利益もそれなりに出ているので、これから買いたい人がたくさん出てくるはずです。この場合はまだ上がる可能性があると考えるべきでしょう。
PERが高いときは、株価が割高になっているときなので、単純に考えれば売り時です。
理想は15以上なので、それを大きく上回るようなら割高と言える状態。
しかし、PERが高いからと言って安易に売り時と判断するのは危険です。
PERが高いときの判断についてはこの後考えてみます。
また、1つの考え方として、PERから一定期間に期待できる利益の理論値を算出することはできるかと思います。
実際には株価が下がらず、買い手がつく状況であれば株主的には元はとれます。しかし、購入当時の経営状態から判断して「これくらい伸びるだろう」と思ったペースで収益が得られそうにないのでれば、それが売り時の判断基準考えられます。
PERが高い場合は売るべきか?
PERが高くなっているときには、買い時か売り時かと言われれば売り時です。
しかし、PERがどれくらいになったら売るべきかという点においては、他の指標などの要素をしっかり確認し、総合的に判断する必要があります。
例えば、直近のEPSが前年と比べて下がっているようなら、株価が高いのではなく、企業の利益が下がっているということ。高配当、株主優待等で人気がある場合を除けば、見放されて売られるのも時間の問題かもしれません。
高配当、株主優待で人気がある銘柄でも、利益が伸びていないということは配当や株主優待も無理して出しているということです。となれば近々減配、株主優待の廃止が発表され、保有する理由のなくなった株主が売り始めて株価が下がる可能性もあります。
PERが高くなってきたら、EPSが下がっているのか、株価が高騰しているのか、他の指標も併せて検討して売り時か判断しましょう。
ROEと売り時の関係
株の売り時を見極める指標として、ROEを利用することもできます。
最後に、ROEと株価の関係を見ていきましょう。
ROEとは何か?
ROEとは、自己資本(どこにも返す必要のない資本)に対する収益の割合です。自己資本には株主の投資した資金も含まれるため、株主にとっては自分の投下した資金でどれだけ効率良く稼げる会社か、という指標になります。
ROEの分析方法
ROEは10以上だと優良な銘柄だと言われています。
厳密には自己資本=株だけではないのですが、話がややこしくなるため自己資本≒株として近似した値で考えます。
この理屈で言えば、1株500円の投資をしたときのこの企業の資本は11年後に約2倍になりそうだと予測できます。
計算の過程でROEは経時的変化なしと仮定しましたが、変化していないのならば11年後の企業の収益も2倍になっているはず。それならばPERやPBRにも影響が出るので、そこから目標株価を割り出すことも可能です。
安定した業績を生み出せていればこの企業の株価は11年後に2倍が妥当と言えます。これを売却額の1つの指標にできるのではないでしょうか。
あとは自分の目標に合わせて数字を調節してみてください。
目標が+10%なら、いつ頃その目標が達成できそうか計算してみると良いですし、3年で結果を出したいな、と思うのであれば3年後どれくらい伸びそうか予想することも可能です。
購入検討段階からある程度伸びしろを予測することができるので、購入銘柄検討にも非常に有用な指標だと思います。
あの世界的な投資家、ウォーレン・バフェットもROEを購入銘柄の検討に重視しているとか。
ROEが低い場合は売るべきか?
シンプルに考えると、「ROEが低い=利益が出ていない」と考えられるため、これ以上株価は上がらないし、配当も減らされる可能性もあり、売り時と考えられます。
しかし、ROEの計算式から考えると、利益は変わらず自己資本が増えた場合にもROEは下がります。
自己資本が増えるということは、借金の割合が減り、会社の基盤が安定するということ。
例えば、新しい株を発行して資金を集め、その資金で新事業を始めようとしているのならば、今後の利益増大も見込めます。
逆に言えばROEが高いということは、資金を借金に依存しており経営状態が悪い可能性もあるということです。このあたりは業界によっても事情が異なりますが、ROEが下がり「売り時かも?」と思ったら合わせて「自己資本比率」「流動比率」「有利子負債比率」など借金の割合や会社の資金に対する負担の大きさを表す指標も併せて参考にするべきでしょう。
目標株価・PER・ROEを活用して売り時を見極める方法 まとめ
目標株価・PER・ROEについて数学的な視点も加えて考察し、売り時について考えてきました。
特にPER・ROEで考察した方法は、購入前からできる方法なので、購入銘柄の選定、目標リターンの設定に利用できると思います。
予め投資目標を何%と決めていても、いざ株価が上がってくると「もう少し上がるのでは・・・」と欲が出て、売り時を逃してしまうことも多いので、どの銘柄も一律同じリターンを目標にするよりも、どれくらいまで伸びる可能性がある株なのかを予測しておく方が利益の取りこぼしも売り時の見逃しも減らせるでしょう。
株の売り時は1つの指標だけで決められるものではないので、今回紹介した目標株価・PER・ROEの3つの指標から算出した目標値を平均してみたり、他の指標を分析した結果と合わせて考えてみたりなど、色々試して、自分だけのオリジナル投資マイルールを作ってみましょう!
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